1974年(昭和49年)の自治医科大学附属病院の開院に伴い、中央施設部門の一部門として5人の薬剤師によって薬剤部業務が開始された。その後、患者数の増加に伴い業務量も増え、現在58人の薬剤師が薬物療法の一躍を担うべく活動を続けている。薬剤部におけるここ10年間を振り返ると、その変貌には目を見張るものがある。1998年(平成10年)に開始した院外処方せんの発行は、2001年(平成13年)の増発を経て、最近では外来処方の約8割が院外処方となっている。また、2000年(平成12年)の薬剤管理指導料の大幅な増額は、病院薬剤師業務を、それまでの外来中心の業務体制から病棟中心の業務体制へと大きく変化させ、現在では入院患者への医薬品の調剤と薬剤管理指導(服薬指導)、病棟で使用する医薬品の供給管理、TDM(薬物血中濃度モニタリング)、さらには医療スタッフへの医薬品に関する情報提供等を通じて、医薬品の安定供給と適正使用に貢献している。 薬剤師の病棟進出に伴い、薬剤師の質の向上を図る目的で日本病院薬剤師会や日本薬剤師研修センターが中心となり、専門薬剤師制度・認定薬剤師制度が発足した。当院でも現在多数の薬剤師が、がん専門薬剤師をはじめとする各種専門薬剤師や認定薬剤師を取得している。また、2006年(平成18年)からは薬学教育が6年制となり、薬剤師の職能の向上が図られる一方で、医療の質の向上および医療安全の観点から、チーム医療において薬剤師がより積極的に薬物療法に参加することが強く求められる状況になってきている。過去5年間の参加者数と充足率の推移(定員48人)2007年2008年2009年2010年2011年6112766138参加者数(人)充足率(%)591236313157119そこで薬剤部では、薬剤師のスキルアップ事業の一つとして、地域医療振興財団の主催する薬剤師研修会に企画立案の段階から参加している。この研修会では、「チーム医療への貢献と専門薬剤師の取得に向けての基礎知識の習得」を目的に、知識の習得に向けた内容はもちろんのこと、その時々の医学・薬学的トピックス等も盛り込んでいる。毎年日本各地の病院・診療所に勤務する薬剤師の多数参加を得ているが、特にここ数年は参加希望者が定員を大幅に超える状況が続いている。過去31回の開催の中で、2009年(平成21年)の新型インフルエンザ大流行時と2011年(平成23年)の東日本大震災後は研修会の開催自体が危ぶまれた。幸いにも関係者のご努力で無事開催できたこと、結果的に例年通りの参加者を得られたことに深く感謝している。近年、医療事故が多数報告され、残念ながらその多くが医薬品に関連したものとなっている。今後は、医薬品による医療事故防止のための研修等も含め、良質かつ安全な薬物療法提供のために、より一層充実した研修ができるよう努めていきたい。薬剤師研修会風景110自治医科大学附属病院薬剤部長 須 藤 俊 明薬剤師研修会
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