創立40周年記念誌 地域社会振興財団
121/240

地域社会振興財団創立40周年、誠におめでとうございます。縁あって私が記念誌に寄稿させて頂く機会をいただき大変光栄に思うとともに、恐縮な気持ちでいっぱいである。今回は、私がこの研修会に参加しての感想と今後の貴財団に期待することについて述べてみたい。私は、2006年(平成18年)から貴財団の中央研修会の中に位置づけられている「健康企画・評価研修会」の講師として現在までお世話になっている。これからの時代、保健医療従事者に求められる「企画力」「評価力」「人材育成力」「連携力」「広報力」習得のための具体的事例として、その取り組みの情報を日南市から発信させていただいているところである。 この中央研修会の歴史をみると、1975年(昭和50年)度から開催されており、実に息の長い研修会である。北は北海道から南は九州まで、数多くの保健、医療、福祉事業に携わる方々が参加されている。年々、参加される職種も増えてきているようだが、今年度は調理師の方が参加されていたのには驚いた。この研修会が、40年近く続いているのは、幅広い職種の方々が参加できる柔軟なオールラウンド型研修会だからなのではないだろうか。このことは私が参加した7年間で最も感じたことである。さらに、私が驚いたのは、同じ職場、団体から毎年予算措置をして参加している所があったということである。どこの市町村も財政的に厳しくなっているご時世に県外出張の予算化が恒常的にあるということは、驚きであった。それだけ魅力的な研修会であることがうかがえるのではないかと思う。まさに、私が担当させていただいているテーマである「参加したくなるような研修会の企画」があってからこその実績と参加者の満足度につながっているのではないだろうか。今後も、新しい時代とニーズに合った魅力的な研修会の継続開催をぜひお願いしたいところである。次に私と貴財団との出会いについて述べてみたい。私は、東国原知事で随分と有名になった宮崎県の南部に位置する人口5万7千の日南市の健康づくりを担当している保健師である。これまでの“観光のまち日南”から、“健康づくりのまち”日南へと大きく保健事業を転換しようと、2004年(平成16年)から国保ヘルスアップモデル事業(特定保健指導事業の準備事業)に取り組んできた。この事業で当市が着目したのが、「自己効力感」だった。いわゆる住民自らが課題を発見し、どう対処していくかを主体的に考える力を身につけることが重要だと考え、運動や食事の分野だけに限らず、生活習慣全体の意識に働きかけ、自己効力感を高めていくプログラムの開発、実施、評価の壮大な事業に着手することになったのである。この事業の柱は、「人材育成」。住民と職員が育つことを目標に、自信、目標、仲間づくり、つながり、楽しさをキーワードに取り組んだ。実は、この事業の総合コーディネーターとして自治医科大学一期生の石川雄一先生をお迎えし、そして自治医科大学公衆衛生学の中村好一教授に総合評価者として全面的にご支援いただいた。その結果、事業参加者から地域で活躍できる人材が育ち、健康づくりボランティア団体「元気にちなん応援隊」が誕生した。また、事業参加者の健康意識(自己効力感)が向上すると、健康行動もとれるようになり、検査データの改善傾向がみられ、今後の医療費抑制も示唆されたという結果が得られた。この取り組みを、貴財団の研修会の場で発表させていただく中で、私自身の取組みの振返りができ、参加者の方々との意見交換を通して、大いに事業推進に役立たせてもらっている。最後に、自分自身の成長にもつながっているこの研修会と関係者の皆様との出会いに深く感謝したい。今後、貴財団がますます発展されることを祈念しています。111日南市健康増進課健康支援係長 近 藤 真 理中央研修会について

元のページ  ../index.html#121

このブックを見る