2011年(平成23年)11月4日から11月5日、自治医科大学地域医療情報センター研修室において、第4回看護専門研修会が、「がん化学療法を受ける患者のQOLの向上のために」というテーマのもとに開催された。現在、人口の高齢化とともに疾病構造が変化し、1981年(昭和56年)以来がん(悪性新生物)が日本人の死因の第一位を占め続けている。がんは私たちの生命および健康にとって重大な課題であるといえる。がんの治療には手術や放射線療法といった局所的治療法や、全身的治療法である薬物療法(抗がん剤治療)があり、手術前の腫瘍縮小を目的とし投与するものから手術後の補助的治療法として投与するもの、症状緩和や延命を目的とし投与するものがある。当院においては、平成23年(2011年)度の抗がん剤の月の調剤の件数は入院51.4件外来24.6件であり、薬物療法を専門にする医師やその他の医療従事者がいないという現状がある。今回の研修テーマであるがんの薬物療法は進歩が目覚ましく、従来の殺細胞性抗がん剤からホルモン剤関連薬、分子標的治療薬が次々と登場している。また薬剤の開発だけでなく、これまで開発された薬剤の併用療法も進められている。当院では高齢で合併症を有しているがん患者の症例が多い。そのため全身管理を含めた薬物療法の管理が必要であるため、より高度な知識が求められる。そのため新しい知識や技術を学び、今後の看護活動に活かしていきたいと考え、研修会に参加した。抗がん剤はがん細胞に作用し、がんの増殖を阻止するだけではなく、正常細胞に作用し副作用を出現させる。また単剤使用でなく多剤併用が主流であることや、長期にわたる治療となることが多いため、抗がん剤治療中の副作用対策に対する支持療法が重要となる。抗がん剤治療の実施にあたっては使用薬剤の知識や併用療法の効果と副作用の知識だけではなく、治療を受ける患者のがん種、病理組織型、臨床病期、主要臓器予備機能、全身状態、既往歴、合併症など多角的な面から患者をアセスメントしていく必要がある。また、治療が開始されれば、治療継続や中止、延期の評価がされるが、これは抗がん剤治療の目的が、治癒を目指すことが期待できるがん種か、再発を予防するものか、症状緩和や延命を目的とするものかにより変化してくる。また、がん治療をしている患者の多くは身体的側面だけでなく、精神的面においてもストレスにさらされている。今回の研修では、抗がん剤治療を受ける患者の意思決定支援に関する事例検討や、副作用症状のマネジメントの方法について、副作用発現のメカニズムからアセスメントのポイントや、支持療法の方法と看護支援の実際について学ぶことができた。さらに患者の治療の場の変化として、2002年(平成14年)の診療報酬改定による外来化学療法加算の新設や、2012年(平成24年)の診療報酬改定により外来化学療法加算が引き上げられたことからも、今後外来での抗がん剤治療が増加することが予測される。抗がん剤治療の副作用対策が、患者の生活の質の向上につながること、治療を継続するためのポイントとなることからも、セルフケア支援が重要となってくる。今回セルフケア支援のポイントや方法、実践について、ドロセア.E.オレムの理論から学ぶことができた。今回の研修に参加したことで、最新のがん化学療法における知識や抗がん剤治療を受ける患者への看護師の役割についての知識を深めることができた。また、がん化学療法の看護にさらに興味をもった。現在、がん化学療法の分野での認定看護師資格を修得するため学んでいる。がん医療の均霑化が推進できるよう活動していきたい。112小山市民病院看護師 寺門裕子第4回看護専門研修会に参加して
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