津島市は、愛知県の西部「海部地域」に位置する人口 約6万6,000人のまちである。440床の津島市民病院を有し、同病院は、地域の中核的医療機関として、津島市民のみならず、周辺地域住民の医療の確保にも貢献してきた。この津島市民病院が、最も深刻な経営危機に陥ったのが、2007年度(平成19年度)である。その後は、関係機関のご支援のもと、津島市長・市民病院長を先頭に、一丸となった取組みを進め、状況は改善してきているが、この2007年度(19年度)が、津島市のみならず、海部地域全体の医療の危機であったと考える。津島市は、海部地域の3つの基幹病院(厚生連海南病院・あま市民病院・津島市民病院)と、「海部地域の医療と健康を推進する協議会(会長:海南病院長、以下「協議会」)」を結成し、地域医療を地域全体で守り育てるための活動を進めており、その事務局を担当している。そして、これまでの活動の一つの成果として、2012年(平成24年)4月には「海部地域医療サポーターの会(以下「サポーターの会」)」という住民団体が誕生している。この協議会の取組みの根幹をなすのは、「地域医療と健康生活を守るためのシンポジウム(以下「シンポジウム」)」である。第1回を、2010年(平成22年)2月に、自治医科大学の梶井教授と神田助教を講師にお招きし開催した。これが、一連の取組みのスタートである。この際の梶井教授・神田助教との出会いがご縁となり、■城県筑西市・津島市・地域社会振興財団の共催、自治医科大学の後援で、2011年(平成23年)2月に開催したのが「平成22年度 テレビライブ地域交流会現地研修会 - 住民が協働で支える地域医療 - 」である。筑西市と津島市には、市民病院改革を機に、市民・医療者・行政が一体となって地域医療を守っていくための取組みを開始したという共通点があり、この「テレビライブ地域交流会現地研修会(以下「テレビライブ」)」を通じて、お互いの取組みの発展につなげていくことを目的としていた。テレビライブ当日、津島市会場には約120人という想定を超える参加者が集まり、地域医療に対する津島市民の“想いの高まり”を感じた。テレビライブの中心は、両会場の参加者が100インチのテレビ画面を通じて生中継で行う意見交換であり、両会場の参加者から活発な発言が続いた。その中で、津島市会場の参加者から、シンポジウムへの参加を機に、仲間数人と地域医療の勉強を始めているという発言があった。この参加者は、現在、サポーターの会の代表として活動している。このテレビライブの中で、津島市長は、①市民病院を守ることは、地域医療を守ること ②医療・保健・介護・福祉は、“健康”を中心につながっている ③市民・医療者・行政が一体となって取り組む必要がある ④地域医療を守ることは「まちづくり」そのものであると述べ、地域一体で、市民の健康的な生活そのものを守るためのまちづくりに取り組むことが重要であると訴えた。現在、津島市は、「みんなでつくろう 健康 つしま」を合言葉に「健康的なまちづくり」を推進しており、その一環として、2012年度(平成24年度)から「糖尿病対策」に取り組んでいる。6月には、地域一体で糖尿病対策に取り組む契機とするため「津島市糖尿病フォーラム」を開催した。同フォーラムも、地域社会振興財団の現地研修会として開催した。自治医科大学との密接な連携のもと、各種研修事業をはじめ様々な形で、地方自治体をご支援いただいている地域社会振興財団が、創立40周年を迎えた。現地研修会の開催を通じた津島市への的確なご支援に感謝申し上げるとともに、40年の弛まぬ取組みに敬意を表する。そして、今後の一層のご発展をご祈念申し上げると同時に、地方自治体へのさらなるご支援を期待している。133津島市健康福祉部健康増進課主幹 安 藤 公 一「現地研修会」を通じた自治体支援
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