地域社会振興財団主催の健康福祉プランナー養成塾に参加させていただいたのは、約15年ほど前で2期生となる。当時私は自治医科大学の義務年限を終了し奈良県内のへき地中核病院に新設されたへき地医療支援部の部長として着任したばかりだった。幸いなことに新しい部署でフレキシブルな業務内容だったため、3週間連続のハードなスケジュールにも関わらず思い切って養成塾に参加することができた。養成塾の講師陣は、それぞれの分野で時代をリードする第一人者ばかりで、今から見ても錚々たる布陣であった。講義が終わると参加者同士の振り返りと、講師との積極的な質疑応答で内容を深めることができ、さらに夜には研修センターの和室に参加者が集まり膝を交えて熱く語り合えたことも交流を深めることに繋がった。また参加者同士のモチベーションも高かったためか、講師自身も受講生の熱さに触発されて毎回講義に来るのを楽しみにされているとも聞いている。日光中禅寺湖畔に会場を移して行われた泊まり込みの研修でも、夜遅くまで狭い部屋に集まり熱く議論し合ったことも印象に残っている。私なりに養成塾の特徴を挙げてみる。# 全国各地からの多職種で構成される参加者# 地域の現状に即したホットなテーマ# 各分野で熱い思いを持つ著名な講師陣 # 2,3週間の合宿的研修(場外交流)# 振り返りやグループワークを取り入れた双方向的な研修形式# スタッフ側のおもてなし# 終了後のフォローアップ研修医学系の研修会もたくさん受講してきたが、主に講義を受動的に聴くだけのことが多い。最近でこそワークショップ型の研修会も増えてきたが、養成塾では多職種の参加者たちが、ディスカッションしながら研修を深めて行く形式が効果的であったと思われる。この形式は、最近では介護保険のケースカンファレンスや病棟でのチーム医療(緩和ケアやNSTなど)の現場でも取り入れられ効果を上げている。さらに養成塾が単発の研修会で終わらなかったのは、研修終了後各現場に帰った塾生たちが電子メールを通じて意見交換できたことと、財団側で定期的にフォローアップ研修として継続的に関わって戴けたことであろう。私が参加した2期生は、塾終了後グループメールを立ち上げ、十数年経過した今も交流が続いており、年に1回はメンバーの地域に集まってオフ会を開催している。写真は奈良県(明日香村)でのオフ会(通称 酔生塾)のものだが、その後東日本大震災があり、放射線避難地域になった福島県飯館村の塾生仲間のところにも集まり生の声を聴くとともに励まし合えたところである。 養成塾は地域に貢献できただろうか。直接的な効果は評価が難しいところであるが、参加者自身の地域社会との関わりや参加者自身のキャリアに大きな影響をもったことは確かであろう。養成塾が播いた種は各地で確実に芽を息吹いていると思われるが、塾自体が現場からのフィードバックを受けて成長し続ける研修会であり続けて欲しい。最後に財団の皆様に貴重な機会を設けて戴いたことに深く感謝するとともに、息の長い研修会となることを願っている。明日香村でのオフ会161明日香村国民健康保険診療所長 武 田 以知郎成長を続ける養成塾
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