創立40周年記念誌 地域社会振興財団
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1 経緯(1)2006年(平成18年)11月19日、雲ひとつない秋晴れのもと、青森市文化会館において「地域医療を考える県民フォーラム〜みんなで創り支える私たちの地域医療〜」が開催された。この「県民フォーラム」は、行政・医療関係者・住民が一体となって自らの地域の地域医療について論じ、考える場として地域社会振興財団が企画し、その趣旨に賛同した青森県が共同で開催した全国で第1回目の「県民フォーラム」である。(2)青森県では、地域医療を確保する上での最大の課題である医師不足への対策として、医師及び医師を目指す若い人たちをきちんと支え、育て、定着するための中長期の総合的戦略である「良医を育むグランドデザイン」を2005年(平成17年)に策定し、「地域全体で医師を育成する」ことを基本的考え方として、「良医を育む地域・青森」を目指して各種施策に取り組んでいるところである。それらの取組を進める中で、地域医療を確保するためには、医療や行政関係者だけではなく、地域住民も一緒になって共通認識のもとに取り組むことが必要であることから、①住民主体の「地域医療研究会」発足を県が支援、②発足後1年間は活動に係る運営費の一部を支援、③その後は活動に必要な情報の提供等、側面から支援することとし、2006年度(平成18年度)の県の新規事業として実施したところである。このような青森県の取組が、「県民フォーラム」の企画意図と一致し、青森県との共同開催に至り、「地域医療研究会」の活動の成果を「県民フォーラム」の地域分科会で行うこととしたものである。2 「地域医療を考える県民フォーラム〜みんなで創り支える私たちの地域医療〜」「県民フォーラム」では、髙久史麿自治医科大学学長の「わが国の医学・医療をめぐる諸問題」をテーマとした「基調講演」に続いて、厚生労働省、弘前大学医学部長、青森県医師会長、地域医療研究会、青森県知事がパネリストとして「青森県の地域医療を考える」をテーマとした熱のこもった「パネルディスカッション」、そして「安心して受けられる地域医療とは」をテーマとした4つの地域ごとの「地域分科会」が行われ、最後に「地域分科会報告(全体会議)」が行われた。この「地域分科会」では、約400名の住民、医療、行政関係者が、それぞれの立場を越えて同じテーブルにつき、地域医療研究会の発表をもとに、各地域における現状及び課題について認識を共有し、自らの地域の地域医療はどうあるべきかについて熱心に討論が展開された。この「県民フォーラム」における討論等を通して、多くの県民の方々に、医療は限りある共有財産であり、みんなで育み、つくり、支えていくものであるという意識が芽生え、広がったものと考えている。3 「県民フォーラム」のその後県民フォーラム開催から5年余りが経過し、そのフォローアップという位置づけで、当時活動していた地域医療研究会のその後の活動報告をもとに、住民、医療、行政関係者が、これからの地域医療のあり方について主体的に考え、認識を共有することを目的として、「地域医療を考える県民フォーラムinあおもり」(主催:青森県、(財)地域社会振興財団、(財)青森県市町村振興協会)が2011年(平成23年)7月に開催され、2006年(平成18年)の「県民フォーラム」に参加した方を含め約60名が参加した。参加した住民からは、「住民が自ら地域医療について考える場の重要性を考えさせられた」「フォーラムは年に1回だけの開催ではもったいない。日常的に住民が地域医療について考える機会を設けては168青森県健康福祉部医療薬務課長 藤 本 幸 男「県民フォーラム」について

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