表、コメンテーターとして谷教授の発言、そして満席で立ち見もいる会場を巻き込んだ熱気に■れた討議となった。細岡氏も今では、卒業後3年目、へき地医療拠点病院であり、指導医クラスとして白石医師が勤務する県立三好病院で頑張っている。そして、濱田医師は、山間部の日野谷診療所で19年目を迎え、引き続き地域医療に貢献されるとともに後輩医師達の育成・指導にあたっている。第2分科会「病院の上手なかかり方」においては、森俊明県医師会常任理事の座長のもと、「地域住民と医療について」をメインテーマにして、NPO法人地域医療を育てる会の藤本晴枝理事長、県立中央病院地域医療センターの中西敬子副センター長の発表、コメンテーターとして佐野次長から発言があり、会場の方々と一体となった会となった。第3分科会「みんなでつくろう健康とくしま」においては、徳島県糖尿病対策班長の島健二医師を座長に、阿波踊り体操を考案した田中俊夫徳島大学開放実践センター教授や県歯科医師会の森秀司副会長、美馬・つるぎ糖尿病対策をすすめる会の佐藤孝夫副会長からの発表、コメンテーターとして藤原真治医師(自治医大19期・徳島県)の発言など、会場からの質疑含め熱心に会が進められた。そして最後には、全体会議として、3つの分科会からの報告会が行われた。このフォーラムが単なる一度限りのイベントではなく、そして行政からの一方通行型でなく住民参加型の事業として、翌年からも、地域の皆さんと共に一緒に地域医療を考えようということで、地域医療について各種テーマでのフォーラムが、毎年、県内各地で順次開催されてきた。まず、この翌年12月に県南部の牟岐町において、財団と県の共催でフォーラムを開催した。牟岐町には県立海部病院があるも第1分科会のパネルディスカッションのの、医師数は激減し、小児科・産婦人科医師ともに常勤医師不在となり、分■取り扱いも中止、さらには土曜日の救急受入中止となるなど、危機的状況となっていた。その中、地域住民の方々を中心にして、「地域医療を守る会」が発足し、海部病院をはじめ、海部郡内の3つの町立病院など、地域の医療を支えていこうという動きが始まっていた。まさにそこに、梶井教授にシンポジウムの座長をしていただき、藤本晴枝理事長、兵庫県から「県立柏原病院小児科を守る会」の丹生裕子代表と、柏原病院小児科の和久祥三医師により、それぞれの地域における取組を紹介いただくとともに、この地域にタネを蒔いて下さり、私達に勇気を与えてくださった。その後、この守る会は地域に根付き、地域の医療を守り育てるべく、頑張っている。そして、守る会のコアメンバーと講師陣との交流は続き、毎年開催されている「地域医療を守り・育てる住民活動全国シンポジウム」(財団主催)にも参加し、発表するなど、進化を続けている。この地域では、年間を通じて研修医や医学生の研修も受け入れており、守る会メンバーも報告会に参加するなど交流を続けるとともに、若手医師の育成にも参画している。現在、県立海部病院には常勤医師8人、うち自治医大卒業医師としては、浦岡秀行医師(7期・徳島県)、木下英孝医師(13期・徳島県)、森敬子医師(26期・徳島県)、和田一馬医師(32期・徳島県)、小幡史明医師(33期・徳島県)の5人が勤務するほか、地域医療再生計画により、県から徳島大学への寄附講座により、総合診療科3人、脳外科1人、産婦人科が非常勤で勤務しており、常時の救急受入や分■取り扱いも再開している。県内各地でのフォーラム開催や地域住民による「地域医療を考えよう・支えよう・育てよう」という活動の活性化は、「地域医療を考える県民フォーラム2007 in 徳島」が大きな起点になったと私は思っている。まだまだ厳しい状況は続いているが、地域住民の皆様、医療従事者、行政などの関係者が、これからも一層、一緒になって考え、取り組んでいきたいと考えている。最後に、創立40周年を迎えた地域社会振興財団および自治医科大学の関係各位に心から感謝申し上げる(そして、ともに尽力いただいた故佐野雄二先生に捧げる)。(注)所属・役職は、フォーラム当時のもの。171
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