創立40周年記念誌 地域社会振興財団
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に国が後追いをしてくる、といった実践と実績に裏付けられた話は、迫力と説得力がありました。キーワードは、「健康を重要政策に据えた、時代を先取りする都市づくり」。(福原さん)地域の組織を地縁基盤型と目的共有型とに冷静に見つめ適切に組み合わせる目、地域の健康づくりには職域への働きかけが必要だと商工会議所や商工会、青年会議所などに飛び込んで道を拓いていく一歩踏み出す力、参加者を支援者に巻き込んでいく仕組みづくり、行政自身を動かす力など、まさに現場実践者が持ちたい、「社会を見る目、組織を動かす力、住民を支える心」を体現するものでした。キーワードは、「住民に学ぶ(我以外、みな師)」。(町村さん)行政の保健師として活躍されながらも、「やりたいことがあったから辞めた」と、自分自身の問題意識と使命感を持ってめざすものを掲げ、周りの人や組織をつなぎ、無から有を生み出しておられます。行政を離れ独立されてからの、実践に裏打ちされた話は、参加者に、民間部門での新たな取組の可能性を示すとともに、行政と民間との連携の可能性も示されました。キーワードは、「人は財産、どのような状態でも、生き甲斐を持って生きて欲しい」。(パネリストに共通的な言葉)全体を通じて、「黒子、黙って見守る、ブレない、粘り強さ、継続・展開、問題の顕在化、想像力と創造力、未来、結果を出す、アプローチ、健康寿命延伸、健康価値観、生きている地域、身体調和」などなど、沢山の印象に残る言葉がありました。(会場からの意見、質問)各パネリストから他の発表者の話を聞いて感じたことをお話しいただいた後、会場からのご意見、ご質問をいただき、さらに議論を進めました。会場からの質問を受けて、市町村合併などを背景として、都道府県と市町村の保健師の専門性の分担のあり方や、相互の連携をどう進めていくべきなのか、地域の保健・医療・福祉の連携を担う人材育成のあり方をどう進めていくべきなのか、などについて意見交換をしました。また、子どもの成長に不安を抱えながらも適切な202助言を受けれなかった経験を持つ母親からの、住民の不安に寄り添える体制づくりを願う発言に、パネリストを含む参加者が、それぞれの責任や成すべきことを改めて考えさせられる一幕もありました。(おわりに)このシンポジウムは、健康づくりが行政の重要な政策課題となっていること、システムづくりの意識を持つ「地域医療医」の意義、行政がその殻を破って多様な主体と連携していくことの大切さ、民間の立場からの健康づくりへの関わりの可能性など、地域社会のあり方に目を向けることの大切さを示したという点で、大変意義深いものだったと思います。自治医科大学と相互補完的な機能が期待されている地域社会振興財団の40周年を記念し、今後の発展を考えるにふさわしいものでした。保健・医療・福祉の連携と地域づくりを一体的に進めることが求められている今、このシンポジウムのように、現場の課題と実践を共有し、それを人材育成に活かすとともに、現場の支援に結び付けていくことなど、地域社会振興財団に期待される使命と役割はますます大きくなっていると感じました。

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