香 山 不二雄前身は、衛生学講座であり、初代教授の野見山一生教授が環境保健、産業保健を教育および研究の主体としてきた。1999年(平成11年)野見山教授の退職の後、助教授の香山不二雄が教授に昇進した。同年9月に衛生学と公衆衛生学とが合併し、保健科学講座の大講座の環境免疫毒性学部門となった。その後、地域医療学センターに組織再編となり、名称を環境医学部門と変えた。さらに2009年(平成21年)4月から医学部薬理学講座の大講座への組織改革により、環境毒性学部門の名称となった。2012年(平成24年)4月からは、研究領域の違いから、薬理学大講座から分離して、医学部環境予防医学講座となった。この10年間に在籍したスタッフは、堀口兵剛准教授(秋田大学)、野本聡講師(インビトロジェン)、荒尾行知助教(米国NIH)、ポストドクとして、池田和博(埼玉医科大学)、ムサ・ドング(セネガル、ガストン・ベルジュ大学)、ミシュラ・ビレンドラ(ケンタッキー大学)である。海外交流では、笹川日中医学奨学金制度により王京浜(米国、バンダービルト大学)、 日本学術振興協会の論博事業および日中医学協会共同研究事業で孫素菊(河北医科大学助教授)、北京大学との共同研究事業で 冷俊宏(天津市衛生局)が来日して研究を行い、学術論文を多数出版し成果を上げた。現在の教員スタッフは、香山不二雄教授、坂本隆子講師、三瀬名丹助教および小川真規講師(併任、保健センター)、大津真弓助教(併任、健診センター)が在籍している。また、非常勤講師として、平野靖史郞((独)国立環境研究所・主任研究官)、野原恵子((独)国立環境研究所・分子細胞毒性研究室・室長)、千葉 百子 (順天堂大学医学部客員教授)教育:医学部学生教育では、環境医学の講義・実習を担当している。環境医学は、国家試験の衛生公衆衛生分野の環境保健、産業保健を担当し教育を行っている。また、1年生を対象としたケース学習やSMSなど、3年生対象の 基礎臨床系統講義(呼吸で職業性呼吸器疾患)、チュートリアルを担当している。大学院生教育では、大学院共通カリキュラムで、「実験廃棄物処理と安全に関して」、修士課程の人体構造学にて「薬毒物を代謝・解毒する臓器」、人体機能学にて「毒物と解毒機能」等を担当している。大学院教育では、趙建宏(河北医科大学 教授)が博士論文(甲種)を取得し、論文博士(乙種)は、町田宗仁(厚生労働省、医系技官)、孫素菊(河北医科大学 助教授)が学位を取得した。また、北京大学との共同研究の成果論文で冷俊成が北京大学で医学博士の学位を取得した。香山不二雄は河北医科大学から名誉教授の称号を授与された。研究では、1999年(平成11年)から5年間、科学技術振興機構「戦略的基礎研究」CRESTにより植物エストロゲンおよび内分泌かく乱物質の研究を実施して、多くの成果を上げた。2001年(平成13年)よりこれまで厚生労働科学研究費で食品中カドミウムの安全性確保のために、大規模疫学調査を実施し、その研究成果はFAO/WHO Joint Expert Committee on Food Additives (JECFA)およびコーデックス会議での食品中カドミウムの耐容摂取量策定に参加し貢献した。関連して、(株)日吉との生体試料中ダイオキシン類バイオアッセイ法の確立、カゴメとの植物中エストロゲン活性物質の検索、 関西電力との米中カドミウム濃度の迅速測定キットの開発などの種々の共同研究を実施してきた。特に、関西電力との共同研究では、米中カドミウム濃度迅速測定キット(商標名カドミエール)は近年市場で年間17,000キット売れる商品となった。環境医学講座は、香山と 小川真規(併任講師、専属産業医) が自治医科大学の産業医として従事しており、学内の産業保健活動を通じてリスク管理を行っている。また、医師会認定産業医制度の基礎研修および生涯研修プログラムとして、産業医研修会を2010年(平成22年)から、小川真規(併任講師、専属産業医)とともに担当し、卒業生、自治医科大学所属の医師以外にも多くの医師に産業保健教育を行った。24環境医学研究部門・環境医学研究室
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