創立40周年記念誌 地域社会振興財団
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部 門① 遺伝子治療の実用化に向けた基盤技術の開発研究と応用研究血液医学研究部門② 地域における疾患の特性と遺伝要因の解明に関する研究③ 生活習慣病又は難病に関する基礎的研究研 究 内 容研 究 成 果することを目的として、アトピー性皮膚炎の研究を行った。小児気管支喘息やアレルギー性鼻炎・結膜炎、さらにはアトピー性皮膚炎も一定部分I型アレルギーが関与している。I型アレルギーの主役であるIgEと呼ばれる免疫グロブリンは、極めて少量しか産生されず、通常IgGの10万分の1程度の産生量である。この微量なIgEを測定するために、以前よりいくつかの手法が行われたが、いずれも問題点を有していた。そこで、蛍光ELISAを使ったIgEの測定において、測定のための励起光の波長と測定光の波長を自由に変えて最良の測定条件を整えることで、マウスを対象に微量IgEの測定を行った。卵白アルブミン(OVA)を投与しつづけたマウスの血清群は、対照のマウス血清群に比べ明らかな抗OVA IgE抗体高値を示した。また個体ごとの抗OVA IgE抗体の多寡についても比較することが可能であった。さらに今後は、アレルギー患者のIgE量の多寡を示せるだけの感度が得られるかどうかを検討する。血液医学研究部門では、継続的に遺伝子治療の実用化に向けた研究および造血機能、血栓の発生や線溶系のメカニズムについての研究を行っている。遺伝子治療の技術は発展途上にあり、今後多くの新技術が生まれ、ヒトに応用されることになろう。その際、ヒトに近い霊長類(サル)を用いた実験を行い、新技術の有用性と安全性を明らかにしていくことは、きわめて重要である。そこでこれまで、サルの造血幹細胞およびES細胞の効率的な遺伝子操作技術を開発、サルの系で造血幹細胞遺伝子治療法の開発研究を実施してきた。本事業では、骨髄内移植法と選択的増幅遺伝子の有用性と安全性の検討を行い、以下の成果が得られた。サルレンチウイルスベクターやセンダイウイルスベクターを用いると、従来法に比べて効率的にサル幹細胞に遺伝子導入することができた。サルの系で検討した結果、骨髄内移植法と選択的増幅遺伝子を併用すれば、移植前処置無しでも、従来の方法と同様の体内遺伝子導入水準が得られることがわかった。今後、効率的な遺伝子導入技術と、移植前処置を不要にする遺伝子治療技術(骨髄内移植法と選択的増幅遺伝子)の、両者の開発に① 難治性血栓性疾患解析システム② Bio-Plex サスペンションアレイフルシステム整備機器50

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