創立40周年記念誌 地域社会振興財団
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機能する可能性を見出した。肥満による高インスリン血症の発症メカニズムに関して、胃のホルモンとして発見されたグレリンが、膵島内因性のペプチドでもあり膵島インスリン分泌とβ細胞内Ca2+濃度を抑制的に制御していることもわかった。また、肥満者では血中遊離脂肪酸濃度が増加するが、我々は遊離脂肪酸が膵島β細胞内Ca2+濃度を増加させグルコース誘発インスリン分泌を増強することも見出した。これらは肥満の機序、治療との深い関連を有していた。部 門① 癌の発生・進展に関する病態生理研究部門分子病理学的研究② 地域の循環器系疾患の診断と予防に関する研究③ 悪性腫瘍の発生機序等に関する細胞病理学的研究④ 生活習慣病又は難病に関する基礎的研究研 究 内 容研 究 成 果摂食連関仲介因子病態生理研究部門では、癌の発生・転移に関する分子病理学的研究と診断と予防に関する研究を行ってきた。腸上皮化生粘膜に出現するCDX2は前癌病変との関連が指摘されている。本研究では、食道炎、胃炎、胆嚢炎の粘膜の炎症段階でCDX2の早期発現を証明できた。また、胃に感染するヘリコバクターピロリ菌は胃に炎症性変化をきたし、将来噴門部癌や食道癌の発生と関連している可能性がある。その機序として、CDX2が胃粘膜に炎症の早期から発現しており、この発現が腸上皮化生移行への契機になっていることを証明できた。また、本システムは、Primer および probe の作製において、遺伝子発現を正確にとらえるprimer express software が備わっているために、高い精度で遺伝子発現を検討できた。各種疾患の病態解明には、実際の患者や動物疾患モデルから得られた組織検体を用いた解析が必要である。特に、呼吸器疾患の患者血清、患者からマイクロサンプリング法により採取した気道上皮被覆液、ブレオマイシン肺臓炎マウスモデルより得た肺組織や気管支肺胞洗浄液などを凍結保存にはフリーズ超低温槽が必須であった。造血幹細胞の研究として、1細胞レベルで経時的に観察するという新しい手法を用いて、幹細胞の自己複製能と多分化能を形態学的に解析し、定常状態においては正常造血幹細胞はほとんど分裂しないことを明らかにした。次に造血サイトカインの影響を観察したところ、IL−3、stem cell factor、FLT3 ligandなどが作用すると、カルシウムの流入と形態変化がおこることがわかった。① 消化管運動機能測定システム② ルミノ・イメージアナライザー③ 蛍光デジタル観察システム BZ-8000 (オールインワン蛍光顕微鏡)④ 急速眼球運動解析装置⑤ 遺伝子及びタンパク質分離精製システム⑥ プリントグラフ⑦ 癌細胞遺伝子・蛋白解析システム⑧ 肥満の成因としてのエネルギー代謝障害の解析システム⑨ 多機能超遠心機⑩ 微量物質定量解析システム整備機器52

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