創立40周年記念誌 地域社会振興財団
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部 門① 地域における疾病の環境要因の解明に関する研究研 究 内 容研 究 内 容研 究 成 果走化性因子ケモカインは組織間の移動を規定する重要な因子であり、細胞接着をはじめ細胞間相互作用において重要な役割を演じている。癌細胞の遊走は白血球遊走の過程と多くの共通点が明らかにされ、腫瘍細胞においてもケモカインなどの走化性因子を介して標的転移組織に呼び寄せられる機構が注目されている。本機器システムでは、癌細胞が転移に際する体内の移動を評価するとともに、in vitroにおける走化性をリアルタイムに可視化することができた。肝細胞走化性測定の可視化では、Jurkat細胞を用いて遊走状態を可視化し画像によりモニターすることができた。同時に、転移、肺転移の存在するマウス担癌モデルを作成し、超音波画像診断装置による転移巣の描出を試みた。エネルギー代謝系の中心であるミトコンドリアの機能異常は、生活習慣病や痴呆などの神経疾患の病因や病態に密接に関与する。これらの疾患の病因や病態の解析を目標とした疾患プロテオーム解析の手法の確立のために、ミトコンドリアに特化した機能プロテオミクス解析を実施した。先ず、ヒトミトコンドリア膜タンパク質の二次元電気泳動法の確立と2Dプロフィールの作成を行った。まず、多機能超遠心機を用いて、ヒト培養細胞から高純度のミトコンドリアを単離する方法を確立した。このミトコンドリアから膜を分画し、さらに可溶化した後、この膜タンパク質を二次元電気泳動法にて展開することでヒトミトコンドリア膜タンパク質の2Dプロフィールの作成を行った。この結果、274スポットのタンパク質を検出した。これらのスポットをすべて単離後、質量分析法を用いてタンパク質を同定したところ、171種類のタンパク質を同定された。また、プロテオーム解析から、機能の未知なタンパク質を10種類以上同定した。研 究 成 果地域における糖尿病、高血圧、脳血管障害といった生活習慣病においても、環境要因と遺伝子要因の双方が、その発症① ストレス応答遺伝子・蛋白質定量システム整備機器整備機器53平成19年度部 門環境医学研究部門

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