部 門研 究 内 容伝子産物同定研 究 成 果関節に機能障害を残す慢性炎症性の難病である関節リウマチの初期病変は関節滑膜の増殖である。その治療法として、増殖滑膜に特異的にアポトーシスを誘導する物質が期待されている。そこで、細胞内酵素活性測定システムにより次の解析を行った。細胞内シグナル伝達機構を解析することにより、アポトーシス関連細胞内伝達物質の役割を検討し結果、免疫修飾薬FTY720は関節リウマチ由来ヒト滑膜細胞にアポトーシスを誘導することが示された。また、TNF-α存在環境ではアポトーシス感受性が亢進することも示された。FTY720は比較的選択的にHFLS-RAにアポトーシスを誘導することから、新しいRA治療薬になり得ることが推定された。骨髄異形成症候群(MDS)は進行性の造血障害を特徴とする血液疾患で、現在のところ有効な治療法はなく、血液領域の代表的な難病といえる。原因は造血幹細胞レベルでの異常、特に自己複製やアポトーシス制御機構の破綻と推測されているが、その本態は未だ不明である。本事業は、MDSにおける造血幹細胞の自己複製やアポトーシスの調節機構の異常を分子レベルで明らかにし、それらを分子標的とする新しい治療法の開発を目的とする。その結果、MDS患者の骨髄造血前駆細胞でアポトーシスの亢進が確認され、その原因として転写因子であるE2F-1の発現が上昇している可能性が考えられた。一方、正常な造血前駆細胞においては、E2F-1の標的遺伝子を抑制する因子であるE2F-6が強く発現し、アポトーシスを抑制していることがわかった。また、合わせてHDAC阻害剤FK228のMDSに対する治療効果についての基礎研究を行い、その治療への有効性を検討中である。さらに、生活習慣病や難病の病態解明及び治療法の開発には、遺伝子改変動物の活用が有効である。これまでのリアルタイムPCR法による解析では、病態に関連する蛋白質の各修飾の解析は困難であり、それは蛋白質を解析することによってのみ可能となる。病態に伴い変化する蛋白質修飾の解析結果は、各病態に対するテーラーメード医療の基礎を成すものであり、地域疾病情報に立脚した疾病対策の方法論を立案・確立するために必要⑤ 病態モデル動物解整備機器ステム析システムリ55
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