部 門研 究 内 容研 究 成 果結果健常検討SDTラットは著明な高血糖値であったが、薬剤の投与により、心重量/体重、左室後壁厚/体重、心筋細胞面積、Na/H xchangeisoform-1(NHE-1)蛋白発現、心筋線維化の程度、transforming growth factor-β1蛋白発現の増加と、毛細血管密度の減少を認めた。すなわち、糖尿病を発症したSDTラットの心筋線維化には、NHE-1の活性化を介した左室心筋細胞肥大と毛細血管密度の減少が関与し、薬剤は血圧とは無関係にこれらを抑制することによって心保護効果があると考えられた。突然死を引き起こす主要な死因として位置づけられる虚血性疾患の病理診断並びに病態解明をおこなうため、高血圧関連遺伝子過剰発現マウスを用いた突然死の病態解析を行った。その結果、このマウスには高率に新生仔死亡することが観察され、その組織学的観察から、高度の炎症細胞浸潤とサーファクタントの分泌不全が認められた。原因として、酸化ストレスとそれに対する防御機構の破綻が、過剰な炎症反応を引き起こし、高率な新生仔死亡を生じると推定された。下垂体前葉細胞に発する下垂体腺腫の形成過程において、内分泌細胞の細胞接着因子の発現の変化が重要であることがわかっている。この腫瘍の発生、進行のメカニズムをさらに進めて解析するためには、病変組織の遺伝子及びその調節蛋白の動態を細胞単位で把握し、形態変化との関連を明らかにすることが重要であり、蛋白・遺伝子レベルでの細胞組織化学的手法を用い、新たな観点から下垂体腫瘍発生の機序を解明した。本事業で、ラット下垂体前葉のプロラクチン産生細胞と濾胞星状細胞でレチノイン酸の合成酵素であるレチノアルデヒド脱水素酵素(RALDH1)が発現していることが明らかとなり、レチノイン酸が下垂体前葉内で局所的に合成されていることが示された。プロラクチン細胞で発現するRALDH1がプロラクチノーマで著しく減弱することが明らかとなり、プロラクチン産生腫瘍形成過程の新たなメカニズムとして、局所的RA産生が関与する系が存在する可能性が示された。整備機器59
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