創立40周年記念誌 地域社会振興財団
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部 門血液医学研究部門① 地域における疾病の特性と遺伝要因の解明に関する研究② 生活習慣病又は難病に関する基礎的研究研 究 内 容研 究 成 果内腔で起こるべき雌雄配偶子の受精が完全に止まってしまうことを突き止めた。血栓形成機序の破綻は、地域に生活する住民に対して重篤な後遺症をもたらし、地域社会への大きな負担なる。本年度は、血友病患者に発生する自己抗体の発症予防を目的とし、血友病マウスを用いた研究を進めた。1)超高解像度超音波システムガイド下に、血友病Aマウス胸腺組織に対して、ヒト遺伝子組み換え第VIII因子を直接的に投与する方法を確立した。本法は、0日齢新生仔血友病Aマウスにおいても安全な投与方法であった。2)第VIII因子の胸腺内投与後に第VIII因子の反復刺激を行い、マウス個体内に生じる抗第VIII因子抗体の多寡をベセスダ法により測定した。その結果、胸腺内第VIII投与群(n=17)の抗第VIII因子抗体価は、胸腺内非投与群(n=18)と比較して有意に低値であった(14.6 ± 3.8 vs 184.5 ± 48.6 BU/mL, p=0.0019)。3)本免疫寛容マウスモデルに対して、破傷風トキソイド抗原(TT)の感作を行うと、抗TT抗体が速やかに生じることから、胸腺への第VIII因子投与により成立する免疫寛容は抗原特異的であると考えられた。4)CD4+T細胞、抗原提示細胞およびCD4+CD25+T細胞を単離し、in vitroでの第VIII因子刺激に対するサイトカン産生をELISA法により、CD4+T細胞増殖活性を3H-thymidineの取り込み率により評価した。胸腺内第VIII投与マウス由来CD4+ T細胞は、胸腺内非投与マウス由来の抗原提示細胞共存下で第VIII因子刺激に対して増殖活性を示さず、IL-2、IL-12および IFN-γも産生しなかった。胸腺内第VIII投与マウス由来CD4+CD25+T細胞は、in vitroでの第VIII因子刺激に対する胸腺内非投与マウス由来CD4+ T細胞の増殖を抑制した。この抑制効果はナイーブマウス由来CD4+CD25+T細胞ではみられなかった。これらの結果から、胸腺組織への第VIII因子抗原暴露により、抗原特異的制御性T細胞が誘導され、免疫寛容が成立する可能性が示唆された。5)細胞移植療法による免疫寛容誘導の検討:0日齢新生仔に第VIII因子を投与することにより作成した免疫寛容マウス由来脾細胞を、第VIII因子欠損生体マウスの胸腺へ移植した。レシピエントマウスの約60%で抗第① 血栓形成メカニズ整備機器ム解析装置61

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