創立40周年記念誌 地域社会振興財団
73/240

あ導機構を有することも推測される。部 門研 究 内 容研 究 成 果、類似MAPKファミリーは、ERK経路、p38経路、JNK経路の3経路から構成される3段階のリン酸化酵素カスケードである。ERKは細胞生存や増殖、JNKは炎症やアポトーシスと関連し、p38は中間的位置を占めるとされている。近年は、自己免疫性関節炎、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、自己免疫性心筋炎およびぶどう膜炎などの動物モデルを用いてFTY720の治療効果が研究され、ヒトでも多発性硬化症への治験が検討されるなど、FTY720が自己免疫疾患に適用拡大されている。FTY720は自己免疫性関節炎モデルであるCollagen-induced arthritisラットの関節炎を改善したが、その分子機構や炎症を来した関節組織への直接作用は十分解明されていない。リンパ球のホーミング促進、増殖関節組織でのアポトーシス誘導またはその他の機序のいずれかが複合的に作用していると考えられる。関節リウマチは、滑膜細胞の増殖を主病態とし、血管増生および白血球浸潤を伴う関節組織の炎症と増生を特徴とした自己免疫疾患である。関節リウマチの滑膜細胞増殖には液性因子のTumor necrosis factor(TNF)αのほか、滑膜細胞のアポトーシス異常の関与も指摘されている。FTY720の白血球や血管内皮細胞へのアポトーシス誘導を含めた直接作用は検討されているが、関節リウマチ滑膜細胞についてはほとんど報告されていない。関節リウマチ滑膜細胞にアポトーシスを誘導できる薬剤は、関節リウマチ治療薬として有用である可能性がある。我々は、細胞内酵素活性測定システムを用いて、FTY720の関節リウマチ関節組織への直接作用とし、関節リウマチ患者由来ヒト滑膜細胞にアポトーシス誘導を試み、MAPKを含むアポトーシスのシグナル伝達経路について検討した。病態機能蛋白発現解析システムを用いて、病態に特異的に発現増加したり減少したりする蛋白質をプロファイルし同定することを目的として研究を開始した。対象とする疾患は、生活習慣病や腫瘍(良性腫瘍や悪性腫瘍を含む)である。これまでの間に貴重な試料を扱うにあたり試料調整の最適化を行うためにマウ誘整備機器63

元のページ  ../index.html#73

このブックを見る