創立40周年記念誌 地域社会振興財団
75/240

部 門研 究 内 容研 究 成 果あるbasal progenitorおよび支持細胞の幹細胞であるapical progenitorの種々の分子マーカを用いた抗体染色を行った。その結果Six1はNotchやHes, NeuroDおよびNeurogeninの発現を調節することで、これらprogenitorの産生にかかわること、さらに、Six1遺伝子はこれらの幹細胞に普く発現し、その欠損によってprogenitorの産生がなくなる、真の意味でのマーカー遺伝子であると結論された。脊髄神経節の形成と、機能成熟の機構を明らかにするために、脊髄神経節の形成異常をきたすSix1/Six4遺伝子欠損マウスの解析を行った。同ホモマウスでは、通常野生型では見いだされない、感覚神経細胞が脊髄の中で見つかる。この細胞の分子マーカーや投射先を解析したところ、魚類や両生類で存在が知られる髄内一次感覚神経細胞であるRohon-Beard細胞とよく似た属性であることが判明した。Six遺伝子の発現の獲得と、Rohon-Beardから脊髄神経節への一次感覚神経系の進化との関連が初めて明らかになった。「少数細胞解析システム」を用い、少量のヒト骨髄サンプルからCD34陽性・CD38陰性の造血前駆細胞を高純度で分離することに成功した。分離した造血前駆細胞から核タンパクを抽出し、アセチル化ヒストンならびにメチル化ヒストンに対する特異抗体を用いてヒストン修飾のパターンを解析した。同時に急性白血病患者の骨髄サンプルより造血前駆細胞(白血病幹細胞に相当)を分離し、正常細胞と比較した。正常造血幹細胞においてはヒストンの高アセチル化(transcriptional competence)が見られるのに対し、白血病幹細胞ではアセチル化が抑制されていることを見いだした。その原因として、白血病幹細胞においてはヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)が異常発現していることを明らかにした。また血球分化に伴ってHDAC発現が系統特異的に変化し、それぞれの分化にinstructiveな役割を果たしていることを示した。引き続きヒストン・メチル化についての研究を開始し、ヒストン脱メチル化酵素LSD1が造血幹細胞に特異的に発現しており、血球分化に伴って発現が消失することを見い出した。また白血病幹細胞においてもLSD1が強発現してい整備機器65

元のページ  ../index.html#75

このブックを見る