創立40周年記念誌 地域社会振興財団
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部 門① 病態検査、臨床生理等に関する基礎的・臨床的研究② 悪性腫瘍の発生機序等に病態生理研究部門関する細胞病理学的研究③ 生活習慣病又は難病に関する基礎的研究研 究 内 容研 究 成 果幹細胞た。今後、正常造血幹細胞と白血病幹細胞におけるLSD1の機能の差異について解析する予定である。肺癌は本邦における悪性腫瘍の死亡数の第1位を占め、外科治療・化学療法の発達にもかかわらず、いまだ肺癌患者全体の5年生存率は20%以下であり、予後不良な癌の代表例である。肺癌は組織像により、■平上皮癌、腺癌、大細胞癌、小細胞癌の4基本型に分類されるが、これまでの知見により、肺癌の発生・進展過程は均一なものではなく、4基本型の中でも、形態―遺伝子異常―表現形質から特徴付けられるさまざまな亜型の存在する可能性が示唆されている。腺癌については、組織学的に腺房型、乳頭型、肺胞上皮癌、粘液産生充実癌、混合型の亜型に分類されるが、病理医間、施設間での診断基準の違いがあり、分子情報を含めた新しい分類が望まれている。本研究では、近年増加の著しい腺癌を中心に、上皮成長因子受容体epidermal growth factor (EGFR) , MET, KRASなどの遺伝子異常とthyroid transcription factor (TTF) ‒1を初めとする表現形質の面から、肺腺癌の生物学的性状を反映する分類を行うため解析を進めた。MET遺伝子は7番染色体長腕7q31.2にあって受容体型のチロシンキナーゼをコードする遺伝子である。肺癌、胃癌、大腸癌、頭頸部癌、卵巣癌などの多くの癌で過剰発現、活性化、遺伝子異常が報告されている。METの遺伝子異常は、遺伝子増幅、点変異、短い欠失などがあり、遺伝子異常によってリガンド非依存性に恒常的な活性化をもたらされる。肺癌細胞40株を用いて、EGFR, METの遺伝子異常、発現、活性化、KRAS変異について検討したところ、MET 遺伝子の増幅は3株、 MET変異は2株、EGFR 遺伝子の増幅は3株、EGFR変異は6株、KRAS変異は11株で認められた。EGFR変異、KRAS変異、MET増幅は相互排他的であった。METの恒常的活性化は11株に認められ、MET増幅を示す3株全例、EGFR変異を示す6株のうち4株を含んでいた。EGFRの恒常的活性化は、MET増幅を示す3株全例、EGFR変異を示す6株全例を含む17株に認められた。METの恒常的活性化を示す11株は、すべて強発現① 血中微量蛋白の同定・定量システム② マルチファイバアダプタシステム③ OCT M2CVシステム④ ポリアミン分析システム⑤ 高速冷却遠心機⑥ Hi-Res Melting遺伝子変異解析システム⑦ HSオールインワン蛍光顕微鏡⑧ 定量的遺伝子発現解析システム⑨ 肺癌モデルマウス解析システム⑩ ウッシングシステムBRC-Ussing⑪ 倒立顕微鏡デジタルイメージングシステム⑫ Step One PlusリアルタイムPCRシステム整備機器66

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