部 門研 究 内 容研 究 成 果恒常活性化示す株EGFRについても恒常的に活性化してMETとEGFRの恒常的活性化に広範な重複があることが判明した。このようにMETとEGFRの恒常的活性化を示す肺腺癌細胞は、まとまった一群を形成する可能性がある。そこで気管支上皮細胞の分化マーカーであるTTF-1、CK7、MUC1の発現パターンを解析したところ、気管支上皮型 (bronchial epithelial typeあるいはGroup I, n=22)と非気管支上皮型 (non-bronchial epithelial typeあるいはGroup II, n=18)に分類可能であったMET増幅を示す3株、EGFR変異を示す6株、METの恒常的活性化を示す11株はすべて気管支上皮型に属していた。次いでこの分類 の生物学的意義を調べるため、分子標的薬剤であるEGFR阻害剤(gefi tinib)とMET阻害剤 (PHA665752)に対する感受性を肺、癌細胞40株のパネルで検討した。MET阻害剤に対しては、高感受性2株、中等度感受性5株あり、他は抵抗性であった。EGFR阻害剤に対しては、高感受性5株、中等度感受性7株あり、他は抵抗性を示した。MET阻害剤とEGFR阻害剤の感受性株には2株を除き重複はなかった。MET増幅株3株はMET阻害剤感受性、EGFR変異株5株中H1650とH1975を除く3株はEGFR阻害剤感受性であった。KRAS変異株のうちMET阻害剤、EGFR阻害剤に中等度感受性のものがそれぞれ2、4株あり、他は抵抗性であった。MET高活性化、MET増幅陰性の細胞株の多くはMET阻害剤抵抗性であった。また前述した分類に則してみると、EGFRあるいはMETの阻害剤に対して感受性のある細胞のほとんどは、気管支上皮型(あるいはGroup I)に属していた。以上より、EGFR, METの遺伝子異常とTTF ‒1など表現形質の面から、肺腺癌が生物学的性状の異なる2群に分類される可能性が示された。現在はさらに肺腺癌組織検体を用いた解析により、今回示した分類の妥当性について検証を進めている。ミトコンドリアゲノムを正常に維持調節することが、各種ミトコンドリア関連疾患からの防御に重要である。本年度はミトコンドリアゲノムの維持調節に関わるタンパク質についての機能解析を行っす整備機器67
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