部 門研 究 内 容研 究 成 果質た。まず、我々の研究室で新しく単離したミトコンドリアタンパク質M19は、免疫染色法や生化学的解析からミトコンドリアDNA(mtDNA)を含む核様体(ヌクレオイド)と相互作用するタンパク質であることが示唆された。そこでM19がミトコンドリアヌクレオイドと相互作用していることを確定させるために、本多機能超遠心機を利用したグリセロール密度勾配遠心法によってミトコンドリアの分画を行った。その結果、M19と既知のミトコンドリアヌクレオイド構成因子が同じ画分に存在することが明らかになり、M19とヌクレオイドの相互作用が強く支持された。今後、M19がいかにmtDNAの維持に関わるのかを明らかにすることにより、ミトコンドリアゲノムの維持調節機構の解明とともに、関連疾患の同定に役立つことが期待される。一方、ミトコンドリアゲノムの維持やミトコンドリア形態調節に関わるミトコンドリアタンパク質OPA1の解析を進めた。OPA1はミトコンドリアに移行した後プロセシングを受け、ロングアイソフォームとショートアイソフォームを生成する。これらのアイソフォーム間にミトコンドリア内局在性の違いがあるのかどうか調べるために、本超遠心機を用いたショ糖密度勾配遠心法によりミトコンドリア膜画分の分画を行った。その結果、ロングアイソフォームは脂質二重膜の内膜側に、ショートアイソフォームは外膜側に存在することが明らかになり、両アイソフォーム間の機能的差異が示唆された。代謝ケージを用いて呼吸商を測定することにより、全身エネルギー消費に占める脂肪燃焼の寄与を評価することが出来る。神経栄養因子Brain-derived neurotrophic factor (BDNF) の遺伝子変異を持つ患者は重度の肥満を呈することが知られており、ヒト肥満の成因として関与する可能性が示唆されている。肥満は摂食亢進またはエネルギー消費低下により起こる。そこで我々は、BDNFのエネルギー消費作用を検討した。Brain-Derived Neurotrophic Factor (BDNF) とCorticotropin-Releasing Factor (CRF)のアンタゴニストをラット脳室内に連続投与し、1週間後にオキシマックスを用いて呼吸商を算出した。脳室内に投与したBDNFは、呼吸商の低下すなわ整備機器68
元のページ ../index.html#78