創立40周年記念誌 地域社会振興財団
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部 門研 究 内 容研 究 成 果与呼すち脂肪消費の増加を起すことを明らかにした。また、視床下部の摂食代謝中枢の室傍核にBDNFを投与することで呼吸商が下がることから、BDNFのエネルギー消費促進の作用部位の一つが視床下部室傍核であることが示唆された。さらに、BDNFによる呼吸商の低下がCRFアンタゴニストにより阻害されたことから、BDNFは脂質消費を増加させ、その作用はCRFにより仲介されていることが明らかとなった。この結果を含む論文を、Journal of Neuroendocrionlogyに投稿し、現在リバイス中である。レプチン欠損ob/obマウス、脳特異的STAT3 欠損(Nestin STAT3 KO)マウスは対照マウスに比して過食と肥満を呈する。代謝ケージを用いた測定により、ob/ob、Nestin STAT3 KOマウスはいずれも酸素消費が低下していた。さらに、アデノ随伴ウイルスを用いた抗炎症性サイトカインIL-10の投与により、ob/obマウスは酸素消費が増加する傾向を示した。この他にも幾つかの研究でオキシマックスが使用されており、有用な情報が得られつつあり代謝の研究に役立っている。統合失調症の病態解明、ひいては診断補助のための検査として「急速眼球運動解析装置」を用いた眼球運動の研究は大いに期待される。ヒトの統合失調症など脳機能障害と認知特性や行動特性との関連を明らかにすることを目的とし、本年は、従来の眼球計測手法をより進め、空間課題の視覚刺激に関連した認知特性および行動特性について、ヒトの脳機能障害とその関係を調べるための計測システム及び認知特性計測のためのタスクを開発し、予備実験を実施している。我々は、ヒトの統合失調症などの脳機能障害において、高次機能の神経情報処理と病態を含む病理的知見との関連性の重要を指摘・着目している、過去の研究報告例とは異なり、日常生活環境下同様に複雑な刺激が存在し、さらに統合失調症患者の意思決定など意識レベルの状態との関連について明らかにするためのタスク開発と予備実験を実施した。複雑な刺激混在する環境として、さらには患者の自立した生活支援の観点から、自動車運転時の意識レベルと眼球運動、更には行動特性と脳活動について計測を行った。結果、予備実験段整備機器69

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