創立40周年記念誌 地域社会振興財団
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部 門研 究 内 容研 究 成 果ロモーター下にGFPをつけたトランスジェニックラット(S100b-GFPラット)を作出され、我々はこの動物からFS細胞をフローサイトメトリーにより単離し、培養する方法の確立をした。下垂体前葉を酵素処理により単一細胞に分散した後、ソーティングを行った。GFP陽性分画と陰性分画とを回収し、蛍光顕微鏡でGFP陽性反応を確認したところ9割以上純化することができた。またリアルタイムPCR法を用いて発現遺伝子を比較し、GFP陽性分画にはS100β以外の前葉細胞がほとんど含まれず、逆にGFP陰性画分にはFS細胞は含まれないことが確かめられた。Mofl oを用いることでS100b-GFPラットからFS細胞を純化することに成功した。さらにソーティングされた細胞は培養することが可能であった。FS細胞の純化法はFS細胞の機能を解析する上で強力なツールとなり、FS 細胞の細胞外基質との親和性やFS細胞に発現する遺伝子の網羅的解析を行っている。3)蛍光標識レクチンを用いた下垂体前葉細胞の選別法の確立我々は下垂体前葉細胞で細胞種特異的に認識するレクチンを明らかにしてきた。その情報をもとにフローサイトメトリー法による各細胞の純化を試みた。Cholera toxin subunit B (CTB)は成長ホルモン(GH)産生細胞を認識することから、分散した前葉細胞を蛍光標識したCTBで染色した後、Mofl oにより選別採集した。免疫細胞化学、リアルタイムPCR法によりCTB 強陽性分画はほとんどGH産生細胞であることが確認でき、CTB標識とソーティングを組み合わせることでGH産生細胞を純化することに成功した。Protein induced by vitamin K absence or antagonist II( PIVKA-II)は肝癌の腫瘍マーカーとして臨床の場で汎用されているが、その産生機序は不明である。我々は肝癌細胞株を用いて抗癌剤、低酸素といった腫瘍増殖・生育に不利な条件下で形態変化(epithelial mesenchymal transition;EMT)を引き起こし、PIVKA-IIを産生するようになることを証明した。その機序としてEMTを起こした細胞では細胞骨格であるactinが脱重合を起こすことにより、脂溶性ビタミンであるビタミンKの取り込みが低下するため、肝癌細胞内でビタミンβ整備機器71

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