部 門研 究 内 容有す研 究 成 果性た結果、3種類の抗体のうち1種類にのみ反応を示した。現在は抗透明帯抗体を保有しない女性の血液を用いて解析を行っている途中である。不妊女性における受精率や妊娠率の向上を期待できるようこの二次元電気泳動システムを使用した抗体検出は重要であり、抗体保有者に対しては、さらなる検査を加えた上で総合的に判断し、よりよい治療方針を導くことが可能であると思われる。埼玉県においても発症頻度の多い難治性疾患である成人T細胞性白血病(ATL)を対象として、その原因ウィルスであるヒトT細胞白血病ウィルス(HTLV-I)に由来するTaxタンパク質に対する特異的細胞傷害性T細胞を誘導する方法を開発し、腫瘍特異的免疫療法へ臨床応用することを目的とした研究である。HLA-テトラマーを用いたフローサイトメトリーによって、ATL患者末梢血からTax抗原特異的CTLを分離した。そして、T細胞受容体 (TCR)に対するsingle-cell RT-PCR法を用いてTax抗原特異的CTLのTCR CDR3 regionのレパトア解析を行うことで、Tax抗原特異的な個々のCTL-cloneを同定した。次に、これらのcloneが実際にATL患者の腫瘍細胞を攻撃するかどうかを確認するために、培養によって様々なTax抗原特異的CTL cloneを誘導した後に、Tax抗原を発現しているHTLV-I感染細胞に対する各CTL cloneの細胞傷害能をテラスキャンVPCによって定量化した。4症例のATL患者の末梢血を材料とし、HLA-テトラマー法を用いて同種造血幹細胞移植後のHLA-A24拘束性のTax抗原特異的CTLを検出、単離し、single-cell RT-PCRによってT細胞受容体レパトアの解析を行ったところ、移植後のTax特異的CTLのT細胞受容体レパトアの多様性は著しく制限されていた。また、Tax特異的CTLにおいて特徴的なアミノ酸配列が、異なる患者間で、あるいは同一患者の移植前後で保存されていることが判明した。この特徴的なアミノ酸配列を有するCTLは患者のHTLV-I感染細胞に対して強力な細胞傷害活性を示した。以上のことから、ATL患者のTax特異的CTLは特徴的なT細胞受容体再構成パターンを⑦遺伝子解析質発現イメージ解析システム⑧ 二次元電気泳動システム整備機器74
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